第7章 Pântano
「ご馳走様でした。凄く美味しかったです」
松岡「お粗末様でした」
「特に肉じゃが…本当にヤバかった。」
松岡「料理は子供の頃から好きでね。小さい頃から母親と並んで台所に立ってたよ」
「そうなんですか」
父「コーヒー入ったぞ」
キッチンからカップを並べたトレーを父さんが運んで来た。
「すげ…いい匂い」
父「だろ?コーヒー入れるのは自信ある」
潤「料理出来ない代わりにね」
父「俺はレトルトのお粥は焦がさないぞ?」
「もう!父さんまで…!」
父「ははっ、すまん」
またリビングに響く皆の笑い声。
4品人で向かい合い、コーヒーを飲んだ。
「はぁ…美味しい」
ホッと力が抜ける。
すると父さんがコーヒーカップを置いて俺を真っ直ぐに見つめた。
父「翔」
「ん?」
父「お前に…ちゃんと伝えなきゃいけない事があるんだ」
「え…何?」
父「………父さんと…母さんの事」
「………」
父「お前を連れて帰ってくるって連絡潤に聞いた時に少し聞いた。陽子が…母さんが俺の事どう言ってるか」
「………」
父さんが大きく息を吐く。
松岡「俊さん」
そっと松岡さんが父さんの肩に触れた。
父さんが松岡さんを見つめる。
その触れ方。
2人の瞳。
全てが分かった。
父さんが何を言おうとしてるのか。
潤がどうして俺をここに連れて来たのか。
父「………私と彼…昌宏は…付き合ってる」
「………」
俺は黙って2人を見つめていた。