第7章 Pântano
「松本の人間とは関わるな。二度と顔も見たくない。あんたの父親は私を騙した最低の人間だ。会う事は許さない」
潤「………何…?」
「母さんがいつも俺に言ってた言葉だよ」
潤「………は?」
「それでも俺は会いたかった。父さんとお前に。それで一度…中学の時会いに行こうとした。でも母さんにバレて…」
潤「………どうなったの?」
「………死ぬ程殴られた」
潤「そんな…」
潤が手を伸ばし、俺の手を握る。
「………お通夜の時お前と父さんが仲良く話してるの見て…羨ましかった。俺も…父さんと暮らしたかったって…そう思った」
潤「………母さんと…仲悪いの?」
「………葬式で会ったのは4年振りかなぁ。あれから連絡も取ってない」
潤「そっか…全然知らなかった」
「元々馬が合わなかったよ。あの人は俺に自分の思い通りにさせようって事しか頭になかった。反抗したら直ぐに手が飛んで来た。直ぐに声を上げてヒステリックに怒る。今も昔も変わらない」
潤「………」
「だから、まぁお前も会わないなら会わない方がいいよ。期待するだけ損だ。あんな母親俺は居らない」
コーヒーカップをギュッと握り締める。
潤「………兄さん」
「ん?」
潤「実家に行かない?」
「え?」
唐突な潤の言葉に俺は驚いた。