第7章 Pântano
潤「あれ…何してんの」
トイレから出て来た潤が目を丸くして俺を見つめた。
「トイレ長かったな。大丈夫?」
潤「何してんだよ」
「お前が心配だったから」
潤「会社行けよ」
「休み取った」
潤「何で…」
「………弟が具合悪そうにしてて置いていけるか。とにかく寝てろよ。お粥位は作れる」
潤「………」
「とりあえずこれ。痛み止め」
薬を差し出すと潤がためらいながら受け取った。
「飲んだら寝てろよ。ちょっと俺買い出しして来る」
潤「あ、うん…」
スーツを脱いで手早くラフな格好に着替えた。
「ちゃんと寝てろよ?」
潤「だから…子供じゃないんだから…」
「分かってる。でも…大事な弟だからさ…」
ポン、と軽く潤の肩を叩くと玄関へと移動する。
潤「………兄さん」
扉を開けたと同時に不意に呼ばれ、振り返る。
「………ん?何か欲しいものある?」
潤「………ありがとう。ごめん…」
「何で謝るのかは知らないけど有給消化だから気にするなよ。じゃ行ってくる」
潤「………うん。行ってらっしゃい」
そう頷く潤は…初めて見る様な、素直な笑顔だった。
それが俺には凄く…嬉しかった。