第7章 Pântano
ー翔sideー
「ふぁ…」
欠伸をしながら
コーヒーメーカーをセットする。
リビングにいい香りが漂い、俺も少しずつ覚醒していった。
「潤のやつまだ寝てんのか…珍しい」
時計を見るともうすぐ8時だった。
トースターからトーストを皿に乗せ、ネクタイを締める。
上着を着ながら潤の部屋をノックした。
「潤?起きてる?もう8時だぞ」
潤の返事はない。
入るべきか否か…。
「………お邪魔します」
ゆっくりと扉を開き、中を覗くとベッドの上で潤は丸くなって眠っていた。
「………潤?もう8時だぞ。起きなくていいのか?大学は?」
トントンと肩を叩くとゆっくりと潤の目が開く。
「潤?」
潤「ごめ…ちょっと寝かせて…」
絞り出す様な声を上げると潤はまた目を閉じた。
様子がおかしい。
「………どうした?具合悪いのか?」
潤「………お腹痛い…」
「え?」
そっと額に手を当てると酷く熱い。
脂汗をかいてるみたいで。
「………昨日雅紀と飲んだんだよな。何か変なもん食ったのか?」
潤「………子供じゃないんだから…食わないよ…」
潤が少し笑った。
潤「兄さんは仕事行ってよ。社会人なんだから遅刻しちゃうと駄目だよ…」
「けど…」
潤「平気だから…っっ…とりあえずトイレ行かせて…」
お腹を抑えて起きようとする潤を支えて起こした。
潤「ありがと…」
立ち上がり、ゆっくりと歩き出す潤。
そんな潤を俺はどうしても放っておく事が出来なかった。