第6章 não deixe
潤「え?兄さんここでバイトしてたの?」
「そう。それに暫くはマスターのとこでやっかいになってたんだよね」
潤「………そうなんだ」
新宿二丁目にあるこのバーは…マスターはノーマルだけどお客さんのほとんどがゲイで。
回りを見るとチラホラとカップルも居る。
俺達も…そう見えるのかな、なんて思うと勝手に嬉しかった。
潤「雅紀聞いてもいい?」
「ん?」
潤「………兄さんと…母さんて上手くいってないの?」
「………」
………どこまで話せばいいのか。
あの2人の長年の確執を…。
「………詳しくは…本人から聞いて?かなり複雑だし俺が勝手に喋っていいものか」
潤「………分かった」
「俺から言える事は…翔ちゃんのお袋さん。君のお袋さんでもあるけど。美人だけど気性が激しくて…昔から色々大変だったみたい。翔ちゃんがゲイだって事…母親には伝えたいって…そう思って伝えたけど…お袋さんは拒絶した。酷い言葉と暴力で。翔ちゃんも本当に悩んでたから…。俺も…話聞く事しか出来なくて。力になれなかった。そんな時にここのマスターに会って…救われたって言ってた。だからよくここに通ってるんだ。俺もマスター好きだよ」
潤「………そんな事が…」
「あのさ…潤」
潤「ん?」
静かに話を聞く潤に…俺はゆっくりと自分の想いを…少しでも打ち明けようと口を開いた。