第1章 unforgiven nuit
「何で…別れたの?」
「………結婚するんだってさ。相手に…子供が出来た」
「………女?」
「うん。あいつはノーマルだった。俺が好きになって…口説き落として付き合ってたんだ。結局はさ…女に勝てねぇんだよな…」
「そんな事ない。相手の男がカスなんでしょ」
「優しいのなお前。ゲイだって言ったら軽蔑されるのがオチなのに」
「俺はノーマルだけど軽蔑しないよ。人を好きになるのに性別とか関係ないし」
「………あいつも言ってくれたよ。やっと好きだって言われて…性別とか関係ないって言われて嬉しかったのにさ…」
「それだけの奴だったんでしょ。また新しい出会いがあるよ」
「だと良いけどな。今の日本で…そう簡単にあるのかな…」
「………」
「あ、悪い酒切らしたな…まだあったかな…」
立ち上がると…ふらっと目眩がする。
するとすかさず俺を支えてくれる腕。
「大丈夫?お酒はいいから横になったら?」
「やだ…まだ飲みたい…」
「お兄さん…」
「なぁ…お前…ノーマルなんだろ?」
「え?」
「お前に聞いても分かんねぇよな。俺が魅力的かどうかなんて…男なんて…気持ち悪いよな」
「そんな事ないよ。お兄さんは素敵な人だよ。優しいしイケメンだし…だから会ったばかりでもこうして2人きりで飲んでんじゃないか」
「優しいな…お前…」
顔を上げると目の前にある綺麗な顔。
「お前の方が…イケメンだよ…」
そして俺は…その唇に吸い付いた。