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CRIME【気象系BL小説】

第1章 unforgiven nuit


「え…」


濃い目の顔立ちに一瞬分からなかったけど…こいつ…。


「変な人。馬鹿野郎って何だよ」


に、日本人…!?


一気に恥ずかしさが込み上げてくる。


「もしかして恋人にでもフラれた?ここが思い出の場所だとか?」


「あ…いや…」


Tシャツにジーンズとラフな格好の明らかに年下のそいつが俺を笑いながら見てる。
馬鹿にされた様で少しムカついた。


「あ、ちょっと!」


何も言わずに隣を振り抜けその場を立ち去ろうとした。


「ごめんお兄さん。待ってよ!」


男の手が俺を掴む。


「離せって」


「悪かった。まさか日本人に会えるなんて思わなかったから嬉しくて。ごめんなさい」


「………」


えらく素直に謝るんだな…。


「まぁ…大声出したの俺だし…別に…」


モゾモゾ言ってるとそいつは俺の前に回り込み、顔を覗き込んだ。


「お兄さん1人旅?」


「え?ま、まぁ、な…」


「まさか傷心旅行とか?」


「なっ!」


こいつ…やっぱり失礼だ!


「お前に関係ないだろ馬鹿!」


「もう…怒らないでよ!」


「うっさい!大体お前何なんだよ!」


ブンブンと掴まれた腕を振るけどそいつは絶対離してくれない。


「俺?俺は留学中の学生」


「留学…?」


「そ」


「そ…か…って、だから何だよ!」


「ふはっ!」


笑いながら俺を掴んでいた手が離れる。


「ねぇ。ここで会ったのも何かの縁だし…美味しいお店紹介するから。行かない?」


「は?」


「それとも…美術館行く?」


ポケットに手を突っ込み、整った顔立ちの割には幼い顔立ちで微笑むその姿に俺は毒気を抜かれた様だった。


「………本当に美味しい?」


「もちろん」


「じゃあ連れてけ」


「ふふっ、決まりね」


背中を向けて歩き出すそいつに俺はそのまま着いて行った。
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