第2章 reunião
洗面台でバシャバシャと顔に乱暴に水をかけ、鏡を見つめる。
ぽたぽたと水が顔を伝う。
頭が痛い…クラクラする。
逃げたい…早くここから逃げたい…。
気が付くと…あの男が後ろに立っていた。
「………」
潤「喪服濡れるよ」
持っていたタオルで俺の顔と服を拭いた。
潤「そろそろお通夜始まるよ。お兄さん」
「止めろ…」
潤「だってお兄さんでしょ?まさか…本当にお兄さんだったなんて…」
「………」
潤「ねぇ」
「何で日本に居るんだ…留学中だって…」
潤「婆ちゃん危篤だって聞いたから帰って来た。暫くは日本に居る」
「………何て事したんだ…俺は…」
髪をくしゃっと掻き上げながら俺は洗面台に手を着く。
潤「何て事?弟とセックスしたって事?」
「止めろ!誰かに聞かれたら…」
潤「居ないよ。もう皆席着いてるし…」
「そういう問題じゃないだろ」
潤「どういう問題?」
「どういうって…まんまだろ!俺達…とんでもない過ち犯したんだぞ」
潤「………分かってる。でも…」
「もう止めよう。あの日の事は…忘れよう。二度と話さない。お前とも出来るだけ…逢わないし話さない」
潤「何だよそれ」
「分かってるだろ。もうこの話は終わりだ」
俺は潤の側をすり抜ける様にして御手洗いを出た。