第2章 reunião
タクシーを降りると俺は思いきり深呼吸をした。
目の前の建物を真っ直ぐに見つめる。
………まさかこんな形で再会するなんて…。
雅紀『着いて行こうか?』
雅紀の言葉に甘えたかったけど…我慢した。
1人で乗り越えなきゃいけない壁だから。
少しでも…歩み寄れれば…。
沢山の人達と一緒に葬儀場へと入る。
当たり前だけど…知らない人達ばかりで。
キョロキョロと探していると…その人は見つかった。
「母さん」
翔母「早かったのね」
「………うん」
翔母「………元気にしてた」
「まぁ、ね」
ぎこちない空気が俺達を包んだ。
翔母「お父さんに会ってきたら?20年振りでしょ?」
「そうだね」
翔母「いらっしゃい」
俺は母さんに連れられ、会場に居る父を探した。
翔母「俊さん」
母が声を掛けると…中年の男性が顔を上げてこちらを見つめた。
翔父「………翔、か?」
「………父さん?」
「翔…!」
涙目になりながら…父さんは俺を思いきり抱き締めてくる。
20年振りの…父さんの姿…。
俺はゆっくりとその姿に手を回した。
翔父「来てくれてありがとう。お婆ちゃんも喜んでるよ」
「そうだと嬉しい」
俺達の会話を母さんは黙って聞いていた。
翔父「母さんにそっくりだな…」
「そう?」
翔父「おい潤。潤…!」
潤…?
すると奥で話していた若い男が顔を上げる。
その顔を見た瞬間…俺は凍り付いた。
その男も…驚いた顔をしながらゆっくりと近付いて来る。
翔父「潤覚えてるか?兄さんだぞ」
潤「………兄さん…?」
「………え…?」
翔父「翔は潤の事…よく可愛がってたもんな。弟の面倒みてくれた…」
「………弟…?」
潤「………」
信じられなかった。
だって弟と呼ばれたそいつは…バルセロナで一夜を共にした男だったのだから…。