第10章 Melhor amigo
智「おはよう」
目を覚ますと…智くんが俺を見つめていた。
「………帰ってなかったんだ…」
智「………もう帰らないよ。言ったろ。君の側に居たい」
「………」
智「この間話したんだ。別れたいって」
「………奥さんは?」
智「………ぶん殴られた」
「だろうね」
手を伸ばして頬を撫でると手の平にキスをされる。
「………いつ気付いたの?」
智「………いつだったかな。何となく」
「………昔から勘は鋭かった」
智「そう?」
「………智くんといく筈だった旅行。そこで逢ったんだよ。偶然。まさか…弟だったなんて…」
智「………好きな気持ちは止められないよ。でも…止めとけ」
「………どっちが不毛?」
智「………根に持ってる?」
「………ズタズタにされた」
智「本当にごめん。でも…今はそんな事思ってないし…もし不毛でも翔くんとなら生きていきたい」
「………子供が出来たって分かっても…その言葉を言ってくれてたら…許してたんだろうな…」
智「………許さなくてもいいから…俺の側に居てくれ」
抱き締められ、何度もキスをされる。
「弟を愛してる様な頭の可笑しい男でも?」
智「………俺の側に居てくれれば…それでいいんだよ…」
智くんの言葉に…俺はゆっくりと目を閉じた。