第10章 Melhor amigo
雅紀「そう言えばさ翔ちゃん」
「………何?」
雅紀「大野さんとはどうなったの?」
「え…」
智くんの名前が出た瞬間、潤が俺を見つめる。
雅紀「『奥さんと別れる』って言われたって言ってたけど…本当に離婚してくれるの?」
「いや…それはまだ…」
雅紀「でも離婚してやり直すんでしょ?良かったじゃん」
「………」
雅紀「だってあんなに愛し合ってたでしょ?それに…彼を落とすのにあんなに頑張ったもんね翔ちゃん」
潤「………」
………止めて。
潤の前でそんな話したくない。
「簡単に…決められない。彼には家庭があるんだよ」
雅紀「でもやっぱり翔ちゃんがいいって言ってくれたんだからさ。やり直せばいいよ」
潤「俺ならそんなクズはごめん被るけどね」
吐き捨てる様に言い放つ潤に雅紀が驚いた顔をする。
雅紀「でもさ…お互い好きなら…」
潤「お互い納得して別れて今でも好きだっつうんなら分かるけど。浮気しといて子供作ってポイ捨てした男だろ?そんなクズの事まだ好きだっていう神経を疑うよ」
雅紀「潤!」
潤「本当にやり直すんだったら勝手にやり直せばいいよそれで兄さんが幸せならね」
「………」
潤「ごめん…先に帰るよ」
財布を出し、お札を出そうとする潤の手を雅紀が掴んだ。
雅紀「俺が呼んだんだからいい」
潤「いや…でも」
雅紀「いいから」
潤「分かった。ごちそうさま。家で待ってる」
雅紀「うん」
そしてそのまま潤は店を出て行った。