第10章 Melhor amigo
雅紀「乾杯〜♪」
潤「………乾杯」
チンと心地よいグラスの音。
上機嫌な雅紀とは真逆に俺と潤は目を反らしながらビールを一口飲んだ。
雅紀「潤何か頼む?」
潤「あ、うん…どうしようかな…」
お品書きに目を落とす潤の髪を雅紀は愛しそうに撫でる。
やっぱり…2人は…。
「雅紀…今一緒に住んでる人って…」
雅紀「………潤だよ。今俺達付き合ってる」
「………」
潤を見つめると、聞こえてない振りをしてるのか、お品書きから目を離さなかった。
雅紀「潤ほら。ちゃんと話そうよ」
潤「あっ…」
お品書きを取られ、潤がキョロキョロと挙動不審になる。
「潤…」
雅紀「俺達…お互いの事将来の伴侶だって思ってる。愛し合ってる。なかなか言い出せなくてごめん」
潤「雅紀…」
潤の目が一瞬泳いだのを…俺は見逃さなかった。
「そうなの?潤」
潤「………うん」
「………じゃあイタリアには…戻らないの?」
雅紀「イタリア?」
潤「いやそれは…」
雅紀「潤イタリアに戻るの?」
さっきまでの幸せそうな顔付きが曇る。
潤「後ほんのもう少しだけど…単位もあるし…」
雅紀「………そう…」
雅紀が頷きながら潤の手を握った。