第10章 Melhor amigo
雅紀「それでさ…そう。そうなんだよ。部長てば本当にムカつくんだよな〜。でもさ…あ、すみませんビールお代わり〜!」
「雅紀…ピッチ速くない?」
雅紀「そう?翔ちゃんも飲みなよ」
「飲んでる…けど…」
雅紀「でさ…」
居酒屋で飲み始めてから、雅紀のピッチとマシンガントークが止まらない。
機嫌がいいのか悪いのか。
かなりテンションが高かった。
雅紀「翔ちゃんは最近どうなの?」
「え?」
ふいに会話が代わり、顔を上げると雅紀が真っ直ぐに俺を見つめてくる。
雅紀「プライベート。最近あまり聞けてなかったから」
「うーん…相変わらずだよ…特に変化は…」
雅紀「早く新しい恋しなよ。もう過去の恋は忘れてさ」
「………そうだよね…」
雅紀「俺さ…」
ゆっくりと雅紀がジョッキをテーブルに置く。
雅紀「翔ちゃん。俺さ…好きな人が出来たんだ」
「え…」
雅紀「初めてなんだ。こんなに心から人を愛しく思えたの。好き過ぎておかしくなりそうな位好きなんだ。その人と今一緒に暮らしてる」
ドクドクと俺の心臓が高鳴り始めた。
「そ、そう…なんだ…良かった…」
雅紀「………ここに呼んでるんだいいよね?」
「………え?」
雅紀「さっき後5分で着くって言ってたからもうすぐ…」
そのタイミングでガラッと開く入口の扉。
雅紀「潤!こっち!」
振り返り、入口に視線をやると、驚いた顔でこっちを見つめる潤と目が合った。