第10章 Melhor amigo
雅紀「翔ちゃ〜ん待って!」
「あ、雅紀…」
会社のエレベーターに乗り込み、ボタンを押すと雅紀が手を振って走って来る。
俺は慌てて『開』のボタンを押した。
雅紀「あー良かった。ありがとう」
他の人達に頭を下げて雅紀が乗り込む。
ドアが閉まり、エレベーターが動き始めた。
雅紀「翔ちゃん今夜予定ある?」
「え?無いけど…どうしたの?」
雅紀「明日休みだし…飲みに行かない?」
「あ…うん。大丈夫だよ」
雅紀「そっか良かった。じゃあまた連絡するね」
「うん。分かった」
会話が終わったタイミングでエレベーターが雅紀の部署に到着する。
雅紀「じゃまたね」
「また」
雅紀と飲むのは久し振りだ。
最近は…あまり飲む事が少なくなってきたから。
あの時の電話口から聞こえてきた声。
雅紀だったら…。
俺はどうすればいいんだろう。
当然だけど…雅紀は俺と潤の関係を知る筈もなくて。
飲みに誘われたのはその話をする為かもしれない。
その時俺は笑って『おめでとう』って言えるのか。
自信はない。
どうすればいいのか。
考えても答えは出なかった。