第10章 Melhor amigo
ー翔sideー
目が覚めると智くんはそこには居なくて。
起き上がろうとすると身体の痛みが節々を襲った。
いつの間に寝室に来たんだろう。それすらも覚えてない。
視線をベッドの下に移すと智くんの靴下が脱ぎ捨てられたままだったからまだうちには居るんだろう。
腰を支えながら起き上がり、ベッドに腰掛ける。
「………しんどいな…」
とりあえずシャワーを浴びようと、ふらつく足で部屋を出てバスルームへと向かった。
中に入ったところで智くんが一緒に入ってくる。
智「翔くんおはよう。起きてたんだ」
「まだ帰って無かったんだ」
顔を見ずにそのまま浴室へ入ろうとすると腕を捕まれる。
智「………昨日はごめん」
「………」
智「俺の事信じて欲しい。翔くんを愛してる」
「………」
智「嫁とは別れるから」
「無理だよ。俺と智くんは上手くいかない」
智「そんな事ない。俺が間違ってたんだ。本当に必要なのは翔くんだって気付いたから。だから今度こそ二度と離さない」
「………俺にはもう無理だよ。だからもうここには来ないで」
智「俺は諦めない」
抱き締められる智くんの腕から俺は逃げる事が出来なかった。