第10章 Melhor amigo
智「弟くん。君嘘付けないでしょ」
「は…?な、にをだよ…」
智「………まぁ、無理もないわな。20年会って無かった。血が繋がってるからって言って目に見えてるもんでもないしな。惚れちゃっても仕方ない」
「何言ってんだよお前さっきから」
智「………ブラコンも程々にしろって事だよ弟くん」
「っっ!!俺は潤て名前があんだよ!!馬鹿にすんな!!」
智「ごめんな。でも潤くんこれだけは言えるよ。妻子持ちの男と愛し合うのと…兄弟で愛し合うのと…どっちがモラルに反する?」
「………」
智「………それに俺…嫁と別れるつもりだ。そうなれば…『不倫』なんてカテゴリー無くなるしさ。それも翔くんに伝えてある。だから…泊まったんだよ」
「………兄さんとヨリを戻すのか」
「未来形じゃないよ。現在進行形だ」
「………」
智「話は…それだけ?」
「………」
何も返す言葉が見つからなくて。
ただただ。
悔しくて唇を噛んだ。
智「だったら…帰って貰っていい?あ、良かったら朝食付き合う?翔くんが起きたら一緒に食べようと思ってたんだけどさ。ちょっと無理させちゃったから起こすのも可哀想でさ」
「………いい。帰るから」
智「そう。残念」
そのまま踵を返し、玄関に向かって歩き始める。
智「バイバイ弟くん」
扉を閉める瞬間、そう大野が言い放った。