第10章 Melhor amigo
ー翔sideー
智「今…何て言った?」
「………もう終わりにして欲しい」
智くんのカップを持つ手が震えた。
智「『大事な話があるから』って言ってたのはこれか?」
「そうだよ。本当に…これで逢うのは最後だよ」
智「………冗談だろ?上手くいってたじゃん俺達」
「そう思ってるのは貴方だけだよ」
智「………」
智くんが静かにカップをテーブルに置いた。
智「何で急にそんな事言うんだ」
「ずっと…考えてた。貴方との事。この状況」
智「………」
「貴方に捨てられて傷付いた。忘れられなかった。ずっと…愛してた」
智「何で過去形なんだよ」
「………もう過去の事になったからだよ」
智「まだ…俺の事許せないか?翔くんの事裏切って結婚した事」
「違う…」
「俺嫁と別れるよ。正直最近上手くいってないんだ。窮屈なんだよあいつと居ると」
「………窮屈…」
「息苦しいんだ。だから…またちゃんとやり直そう。必ず別れるから」
「智くん…」
智「何?」
「………俺と付き合ってる時もそれ感じてたでしょ」
智「………何…言ってんだよ」
智くんの顔が歪んだ。