第10章 Melhor amigo
「貴方はそういう人なんだよ。責めてるんじゃない。誰か1人に縛られる事が苦痛になるんだ。例え最初は楽しくてもね。やっと…気付いたんだ」
智「翔くん…俺は翔くんの事愛してる」
「………俺も…愛してたよ」
智「過去形?」
「………俺は…例え『不毛の愛』だって思っても…飛び込んでくれる人がいい。俺は…1人の人を愛したい。そういう人を見つけたんだ。もしかしたらもう遅いかもしれないけど…でも…もう俺の気持ちは…」
智「ふざけんな!」
智くんの腕が俺の肩を掴む。
智「別れるって言っただろ?何で信じないんだよ。俺にはもう翔くんしか居ないんだ。翔くんだってそうだろ?」
「そうだったよ…」
智「………また過去形かよ」
「………あの時終わった筈なのに…散々ボロボロになって傷付いたのに…馬鹿だよね。でももう…終わりにする。智くんと別れて良かったって…ちゃんと…」
智「止めろよ!」
「………貴方と別れて1人で旅行に行った。それで…俺は出逢ったんだよ。もう…違う愛を見つけたんだ。貴方もでしょ?ちゃんと奥さんと子供の事見てあげて」
智「今更綺麗事言うなよ。俺を愛してるからやり直したんだろ。勝手に別れるなんて許さないよ」
「智くん…」
智「愛してんだよ…翔くん…」
「さ、とし…!」
智くんがそのまま俺をラグの上に押し倒した。