第9章 Contenda com minha mãe
俺達の声がここまで届いていたんだろう。
会場に戻った俺達を待っていたのは痛い程の視線。
案の定、終わった後親戚の人達に俺と母さんは怒られた。
まぁ、無理もないなあんな大声出したんだから。
お通夜が終わった後、親戚一同はじいちゃんを囲みながらお酒を酌み交わす。
じいちゃんの思い出話に花を咲かせていた。
叔父「翔何処に行く?」
「ロビー。ちょっと飲みすぎたから」
叔父さん達に手を振ってゆっくりとロビーまで歩く。
「ふぅ…」
数時間前までは沢山の人達で溢れていた葬儀場のロビーは今は薄暗い明かりだけが灯され、静かだった。
自販機でコーヒーを買い、ソファーに腰を降ろす。
一口飲み、ぼんやりとガラスの向こうの駐車場を見つめる。
母さんに放たれた潤の言葉を思い出した。
潤も…母さんに会いたかったんだ。
ずっとずっと。
そんな人に無視されるなんて…どれだけ辛かったろう。
それでも…俺を庇ってくれた。
無性に…潤の声を聞きたくなった。
やっぱり俺は…潤の傍に居たい。
例え血の繋がった兄弟でも。
ちゃんと伝えたい。
もう一度。
ポケットからスマホを取り出し、俺は潤に電話を掛けた。