第9章 Contenda com minha mãe
ー雅紀sideー
「お帰り潤。遅かったね」
潤「ただいま。ごめん連絡出来なくて」
戻って来た潤は少し疲れた様子で、鞄をソファーに置きながらどっかりと腰掛けた。
「どうだった?お爺さん」
潤「うん…俺が来て喜んでくれてた」
「そっか。おばさんはどうだった?」
そう尋ねると潤は上着を脱いで首を振る。
潤「俺と目も合わせてくれない。それどころか兄さんと大喧嘩始めちゃって」
「………やっぱり」
潤「話も聞いた。担任の先生との事」
「………そっか」
潤「ちょっと驚いたけど」
「………気持ちの行き場が無かったんだと思う。あの時の翔ちゃんに味方は居なかった。今日会ったお爺さんは可愛がってくれてたけど…そのせいでおばさんは翔ちゃんに会うななんて言ったりしてたみたい」
潤「そうなんだ…」
「とりあえず。お風呂入っておいで?」
潤「うん。ありがとう」
立ち上がり、リビングを出て行く潤。
足跡が遠ざかり、浴室の扉が閉まる音がした。
潤の上着をハンガーに掛けながらポケットからスマホを取り出す。
タップするとやっぱり指紋認証のロックが掛かってる。
やっぱり今日も触れないか…。
夜まで待とう。
俺は元のポケットにスマホを入れた。