第9章 Contenda com minha mãe
この人の流す涙はこんなに綺麗なのかと思いながらその顔を見つめた。
もう一度強く抱き締めると…兄さんの身体は俺から離れようとする。
翔「離せよ…潤」
「離したくない。離せる訳ないだろあんな事聞いて」
翔「何でそんなに…勝手なんだよ。もう愛なんていらないんだよ。俺を捨てて出て行ったんならそんな事言うな」
「兄弟だからって何度も俺を拒絶したのは貴方だよ。やっと離れる決意した時にそんな事言われても困る」
翔「決意したなら貫けよ…男だろ」
「分かってる。分かってるけど…貴方を見ると…俺…」
翔「潤…」
身体を離し、兄さんの涙を拭う。
兄さんの手が…俺の唇を撫でる。
翔「ここに…置いていこう。全部」
「兄さん…」
翔「今だけだから…その呼び方するな」
「………翔…」
ゆっくりと顔を近付け、唇を重ねる。
兄さんの唇に触れた瞬間、身体の芯が一気に熱くなる。
少し離した後、思いきり唇を押し付けた。
翔「んんっっ、ふぁっっ…」
兄さんを抱き締めながら、俺は助手席のリクライニングを倒した。