第9章 Contenda com minha mãe
翔「1年位経った位かな。母さんの仕事が遅い時に先生の事呼び出した。それまでにもたまにね…母さんと上手くいってないって事話してた。泣きながら…スキンシップ多めにね。それでその日…ずっと考えてた計画を実行に移した」
「計画?」
翔「ちょっと泣いて誘ったら簡単に堕ちたよ。だから…そのまま先生と寝た。母さんのベッドでね」
「母さんの?」
驚いて聞き返すと兄さんが笑った。
翔「タイミングよく2回戦してる時に帰って来たんだよ。あの時の顔ったらなかったなぁ。だってそうだろ?憎たらしい息子が自分の恋人と自分の寝室でズコバコやってんだぜ?憎い息子に最愛の恋人を寝取られるなんてさ。ははっ…」
「もう止めろ!!」
声を上げながら兄さんの腕を掴む。
ギィーッと音を立てながら車が路肩に止まった。
翔「ちょ…危ないだろ!!何すんだよ!!」
「そんな事笑いながら言うなよ。そんな事兄さんらしくない」
翔「俺らしい?知り合ってたった数ヶ月の癖に知った様な口聞くなよ!お前が俺の何を知ってるんだ!!」
バン!とハンドルを叩きながら兄さんが声を上げる。
「知ってるよ。たった数ヶ月でも…俺達の数ヶ月…誰よりも濃かっただろ」
翔「止めろ!」
「貴方は誰よりも繊細で…優しい人だ」
翔「止めろ潤!」
兄さんが振り上げた手を掴んだ。
その瞬間、封じ込めた気持ちが吹き出してくる。
翔「止めろ…もう降りてくれ。恋人の所に帰…」
そのまま腕を引き寄せ、抱き締める。
「誰よりも繊細で優しい。沢山傷付いた分…本当は自分を犠牲にして他の人を助けてしまう」
翔「潤離せ…」
「その分本当は…淋しがり屋で…愛に飢えてる。愛されたいって…叫んでる」
翔「もう言うな…」
そっと身体を離せば、涙を溢す兄さんがそこに居る。
「翔…」
思わず、俺はそう呼んでしまった。