第9章 Contenda com minha mãe
もうとっぷりと夜も更けた頃。
漸く俺達は病室を出て帰路に着こうとしていた。
エレベーターに乗ろうとした時、
陽子「もう来ないで」
母さんの声で振り返った。
陽子「父さんの事は私が面倒見るから。来なくていいわ」
翔「俺は来るよ」
陽子「翔!言う事聞きなさい」
翔「何が言う事聞きなさいだよ。俺達を10歳かそこらだって勘違いしてんのか」
陽子「いい加減に…」
「もう怒鳴るの止めて下さい。病院だしもうこんな時間です。病院にも迷惑です」
俺がそう突っぱねると母さんは俺を睨みながらも黙った。
翔「爺ちゃん俺達見て喜んでくれた。俺も嬉しかった。元気な内にもっと会いたかったし話もしたかって。こんなになるまで教えもしなかった貴女の言う事なんて聞かないよ。潤と一緒に出来る限り会いに来る」
陽子「迷惑よ」
翔「それはあんたがだろ。大切な身内に会うんだ。邪魔はさせない」
陽子「翔!」
翔「だから大声出すなよ。ヒステリックに喚く事しか出来ないのか」
兄さんがそう言うと母さんが拳を握り締めた。
翔「殴れば?気に入らないと折檻するとこは本当に変わらないな」
笑いながら一歩母さんに近付く兄さん。
母さんが振りかざそうとした腕を俺が抑えた。
「止めて下さい」
握った母さんの腕がわなわなと震えた。