第9章 Contenda com minha mãe
頬を抑えながら母さんを睨む兄さん。
泣きそうな顔で睨み返す母さん。
この親子の間に何があったのだろう。
まだ俺の知らない因縁が…ある。
2人の間に流れる空気がそれを感じさせた。
「止めてよ2人共」
母さんがもう一度手を振り上げた時、反射的に兄さんと母さんの間に入る。
初めて、母さんと目が合った。
なのに母さんは…数秒俺を見つめた後、目を逸らした。
翔母「邪魔よ」
たったその一言だけで俺を居ない物の様に扱おうとしている。
翔「なぁ。別れてから潤と初めて会ったんだろ。あんた母親だろ。何も言う事無いのかよ」
翔母「私はこの子を産んだだけ。母親になったつもりは無いわ」
翔「母さん!」
「いいよ兄さん。俺を置いて出て行った事実だけでしういう事だってのは薄々感じてた。平気だよ」
翔「潤…」
「それより、早く祖父に会わせてくれませんか」
母さんの目を見ると、ギロリと睨まれた後、背中を向け歩き出した。
翔母「そういう偽善者面するとこ、あの人によく似てる」
聞こえる様にそう呟やかれると、兄さんがまた何か言おうとしたのを止めた。
「いいから」
目でそう伝えると、興奮していた兄さんが少しずつ落ち着きを取り戻していった。