第8章 Terminar
ー雅紀sideー
玄関の扉を開くと…いい匂いが立ち込めてくる。
「ただいまー。潤?」
靴を脱いでると、潤がキッチンから顔を覗かせる。
潤「お帰り雅紀」
潤の笑顔が仕事の疲れを一気に癒してくれる。
「何かいい匂いする」
潤「ミートソースパスタ作ったから」
「マジで?潤凄いなぁ」
潤「いきなり居候させてくれたからこれ位しないと…」
「そんな事気にしなくていいって言ったろ?潤とこうしてるだけで俺は嬉しいんだから」
潤の腕を引き寄せ、そのまま唇を重ねる。
潤「ん…」
啄む様に何度も角度を変えながら唇を離す。
「味見した?」
潤「うん」
「やっぱり。ミートソースの味がする」
そして今度は深く舌を吸い上げる。
吸い上げ、絡めながらミートソースと潤の味を好きなだけ堪能した。
潤「ほら、火付けてるから焦げる…」
「ふふ、ごめん」
潤「お風呂、先に入って来たら?」
「うん。あ、潤」
潤「ん?」
「………翔ちゃん心配してたよ」
潤「………そう」
途端に真顔になる潤。
それ以上何も言わずに鍋を掻き混ぜ始めた。
俺も何も言わずにそのまま風呂場へ向かった。