第8章 Terminar
雅紀「え、帰って来てないの?」
「うん…多分友達だと思うんだけど…」
雅紀「心配だね…」
雅紀が手を伸ばし、大きく溜め息を付く俺の肩をトンと叩く。
あの日から3日。
潤は家に帰って来なくなった。
何度電話をしても応答が無く、メッセージも無視されていた。
「雅紀…連絡先交換したんだろ?連絡ない?」
雅紀「ごめんね。あったら真っ先に教えてるんだけど…」
「そっか。ありがとう」
雅紀「役に立てなくてごめん」
「そんな事ないよ」
雅紀「ほら。少しでもご飯食べとこうよ。ね?」
「うん…」
目の前のすっかり冷めた生姜焼き定食を雅紀が指差す。
お箸を掴み、ゆっくりと口に入れ始める。
雅紀「大学の友達の所じゃないの?」
「そうだといいんだけどさ。大学の友達知らないから…」
雅紀「そっか…。でもさ、彼も学生とはいえ成人した大人なんだからさ。大丈夫だよ」
「………そうだな」
ご飯を飲み込みながら頷き、自分に言い聞かせる。
潤は今何処に居るのか。
二度と俺を許してくれないのだろうか。
今度逢ったら…ちゃんと伝えたい。
もう認めざるを得ないお前への想いを。
お前を…愛してる事を。