第2章 夏の話
※オリキャラ出ます
早いものでもう7月。
ありがたい事にここ最近、ぱったりと体を求められる事がなくなり、その代わりというのか何なのか解らないけど、妙にプレゼントを貰うようになった。
優しくされることを疑問に思いながらも、私はコンクールのために、ミナコ先生と一緒にブルガリアへ飛んだ。
15日から30日の期間中、私の持つ全ての力を出し切り、なんとか金賞を取る事は出来たのだけれど、心のモヤモヤは晴れず、せっかく金賞が取れたという嬉しい気持ちもぼんやりとした物になっていた。
「金賞おめでとう!エリ!まだまだティーンみたいなのに、エリと競えなくなるなんて信じられないわ」
「ありがとう、ナターシャも銀賞おめでとう」
私はバレエ関係で意外とグローバルな交友関係を広げていたりする。
今話しかけてきてくれた彼女は私の2つ下の23歳で、バレエ大国ロシア出身のナターシャ・アレンスカヤ。金髪碧眼の美人さんで、私と何度もメダルや表彰を争ってきたライバル兼気心しれた友人の1人だ。
「日本に帰るのはいつ?よければこれからご飯食べに行かない?私とあなたの先生も誘って4人で!」
「明日の午後の便で帰る予定よ、ご飯いいね、ミナコ先生に聞いてみる」
早速ミナコ先生に連絡するとすぐに了承が取れ、ナターシャの先生とも合流して、美味しいブルガリア料理を楽しみながら、バレエの話、家庭での出来事、そして恋バナなんかをして、大いに盛り上がった。
「ロシアではね、恋人や夫婦になったら、毎日愛の言葉を伝えるのよ」
「それは素敵だね!日本でそれは無いなぁ、なかなか口に出さないの」
「日本人はシャイなのね。でもね、実はロシアって離婚率がとても高いの。結婚も簡単にしちゃう人も多いしね。今日は好きでも明日はどうかわからないでしょ?だから愛を伝えあって確認してるの。そう言えばロシアの男性は性欲を我慢するのが最大の愛情表現って知ってた?今付き合ってる彼は一年近く手を出して来なかったのよ!」
「へー、我慢強いのねー、ねぇ、彼氏っていくつなの?学生?社会人?」
恋バナは楽しくて好きだけど、今の私は残念ながら浮いた話がない。
ミナコ先生とナターシャの先生は恋バナに乗ってこず、お酒を飲んでバレエの話をしていて、それを横目に私はナターシャの恋バナの聞き役に勤しみ、女子トークを堪能した。