第3章 夏の話2
目的地について着替えのためにヴィクトルと勇利、その2人についていったマッカチンと別れた。
日焼け防止のためにつばの広い帽子とラッシュガードを着てから更衣室から出ると、妙な人だかりが出来ていた。
もしかして、いやもしかしなくても連れかなーと、その中心に向かってみれば向こうも私に気づいたようで、まずはマッカチンが、そしてファンサービスもそこそこに勇利の腕を掴んでヴィクトルも私の前に駆けてきた。
「マッカチンお待たせ、2人もお待たせー、ヴィクトル、ファンサービスはもういいの?」
「大丈夫ー、俺達もさっき更衣室から出たばかりだよ、ユウリに日焼け止め塗って貰ったからね、ねぇユウリ」
「うん、本当に全然待ってないよ、ヴィクトル僕にも日焼け止め塗ってくれたんだ。更衣室から出た瞬間人に囲まれてビックリしたよ、流石ヴィクトルだよね」
5分も待ってないよ、弟の言葉にやっぱりヴィクトルは人気なんだなぁー、と再確認した。
「そうなんだ、勇利に日焼け止め塗ってくれてありがとう、この子結構肌白くて綺麗なのに無頓着だから助かるー」
じゃれてくるマッカチンの頭を撫でながらヴィクトルに感謝の言葉を伝えると呆れた顔で勇利が私にこう言った。
「恵利姉ちゃんって僕の事結構好きだよね…」
何当たり前のことを今更…こっちが呆れた顔しちゃうわ、と考えてたら次はヴィクトルが口を開いた。
「エリはユウリが、大切で大切で仕方ないって言ってたもんね、ちょっと妬いちゃいそう」
ヴィクトルにそんな話はした事がないけど多分初めての時に勇利を脅しに使って私が大人しくしていた事を言ってるんだろうな。なんでこの人わざわざそんな自虐みたいな事言うんだろう、Mなの?いや、どちらかと言うとSだよね、知ってる。
「結構どころか愛してるからねー、あ、そうだ。浮き輪に空気入れるの手伝ってくれない?」
手動ポンプと浮き輪3人分をずいっと2人の前に出すと勇利は照れた顔を隠すようにしょうがないな!と私の手からそれら受け取って人が少ない所を目指して歩き出した。
慌ててついて行くと人混みもプライベートだと空気を読んだのか遠巻きにちらちらと見られるだけで追いかけては来なかった。
ほんと優しい人が多くていいところだよねー
長谷津よかとこ1度はおいでー