第2章 夏の話
「次したらまたお仕置きするからね」
「はい」
今回はお仕置きが辛すぎて頭に過ぎったアニメのネタが口から出てきたのだ、そちらにも責任の一端はあると言い張り、事なきを得たけど、次から気をつけなければまたお仕置きされる事が決定されてしまった。
こんな事でお仕置きされる身にもなってほしい。
「はぁー、エリのせいで萎えちゃったから今日はお終いにしてあげる」
お仕置きさえなければネタ探すのに…。
「今変なこと考えなかった?」
「ヴィクトル、お風呂行くよね?私もお風呂に行きたいんだけど、疲れて1人じゃお風呂場まで辿り着けそうにないから運んでほしいなー」
適当に服を被り、彼が可愛かったと言っていた食堂での恵利モード、長いな。食堂モードと名付けよう。
で、話を逸らす作戦に出れば、彼はまた長ーいため息をついて、騙されてあげる。とお姫様抱っこで運んでくれた。流石モテるイケメンはやることが違う。
男の肩をちらりと見ればくっきりと歯型が付いている。
ただ、血も出てなくて明日明後日にでも消えそうなもので、少し安心した。
「エリって俺の事掌で転がしてる所あるよね。お風呂まで運んであげてもいいけど、もちろん一緒のお風呂に入ってくれるんだよね?あー噛まれたとこ痛いなー」
まさかここで私の罪悪感に訴えてくるとは…これも彼の作戦だったの?
「こっちの台詞なんですけど…家族風呂なら混浴大丈夫でーす」
食堂モードのまま了承すると、彼はやったーと無邪気に…無邪気な振りをしているのかよくわからないけど、周りを配慮したのだろう、小さな声で喜んでみせた。
「はーい、到着したよー、エリとお風呂は初めてだから楽しみだよ〜」
何を楽しみにしてるのか、考えたところでわからないしとりあえずは普通にお風呂に入ることにした。
するとヴィクトルは「洗ってあげるー」と、好き勝手に触ってきて、そして興奮したらしい彼はせっかく避けられたと思っていた行為を再開させたのだった。
楽しみってこういう事ね…
用意周到にゴムまで持ってきてこの男はは本当に…
結局その日の就寝時間は朝の4時半くらいになってしまい、ミナコ先生への言い訳はまだ考えられてなかったけど睡魔には勝てずに泥のように眠り、家族が起こしに来ても全然起きずに、レッスンの時間ギリギリまで眠ってしまったのだった。