【HQ】脳内妄想‐sharing.・繋がる縁の円‐【R18】
第7章 「タダイマ。」(黒尾鉄朗/episode0)
食事の後片付けや、お風呂。
心の準備を整えようとして、時間を掛ければ掛ける程、緊張は増していく。
それでも、部屋に行かない選択肢は無い。
一緒に居られなかった時間が長いから、傍に居たいとは思うんだ。
覚悟を決めて、鉄朗の部屋の前へ。
緊張で震える手を握り締めてノックする。
「入れよ。」
中からの声を確認してから扉を開いた。
部屋の中、大半を占めるサイズの大きなベッド。
その上に座っている鉄朗が促すように自分の横を叩いている。
ゆっくりとベッドに上がった途端に背中に回された腕。
体重を掛けられて、布団の中に沈んだ。
笑っている顔が近付いて唇が重なる。
だけど、触れただけで離れて。
「お休み。きとりサン。」
何もしない宣言のような事を言われてしまって、意味が分からず瞬きを繰り返した。
「え、っと?寝て…良いの?」
「どーぞ。」
「初夜まで待てないってのは?」
「あのなぁ…。まだ籍入れる日も決めてねぇんだぞ?初夜は何ヵ月先になんだよ。
流石にそれまでオアズケは勘弁だが、今日は戻って来たばっかで疲れてんだろ?そんな日にヤろうとか、思ってねぇよ。ほら、寝るぞ。」
あやすように背中を優しく叩かれる。
でも、そんな事を言われたら、若干は期待していた身体の底が疼いて、私の方がそういう気分になってしまった。
「…シたく、ないの?」
「だーかーら、シたくねぇんじゃなくて、今日はシねぇの。」
「エッチ、シて良いよって…私が言ったら?」
身体を使って誘うのは、まぁ無理だ。
魅力が無さすぎる。
だからって、どうやって誘えば良いかは分からないから、はっきり言葉にした。