【HQ】脳内妄想‐sharing.・繋がる縁の円‐【R18】
第4章 lostvirgin(黒尾鉄朗/episode0)
クロは楽しそうに笑っている。
人の驚いた顔を見て笑うとか、趣味悪いな。
いや、私と付き合ってる時点でイイ趣味してらっしゃるけど。
拗ねているのを表現するように口先を尖らせた。
「アヒル口、似合わねぇよ。」
「そのつもりじゃないし。」
その唇を摘んで、更に笑ったクロ。
すぐに手を払って言い返す。
「じゃ、なんのつもりだよ?」
笑われて拗ねてるのくらい、クロなら分かっている。
わざわざ、私の口から言わせたいとか意地が悪い。
思い通りにするのが悔しくて、黙っていると頭に手を乗せられた。
「…もう、遅いんだから部屋戻れよ。襲っちまうぞ?…用事なら明日聞くから。」
子どもをあやすように、軽く頭を叩いてから部屋に入ろうとするクロの服を掴む。
「…襲って。」
「…は?」
「襲って欲しいから、部屋に来たの!分かれよ、バカ!」
勇気を振り絞って言ったのに、怪訝そうな顔をされたから、つい怒鳴ってしまった。
逆ギレとか、最悪じゃん。
この状態から、甘い夜、なんて無理だな。
諦めて、部屋に戻ろうと服を掴んだ手を離す。
その手は、すぐに掴まれた。
「怖く、ねぇの?」
「…怖くない。クロなら、怖くない。」
伺うような優しい声がする。
首を振って否定すると、手を引かれて部屋の中に入った。