【HQ】脳内妄想‐sharing.・繋がる縁の円‐【R18】
第2章 狼さんに食べられた(黒尾鉄朗/sharing.)
椅子から落ちたりしないでいられるのは、黒尾さんが体を支えてくれているから。
力が入らなくて、自分ではどうしようもない状態で、身を任せるように肩に寄り掛かる。
「…なぁ、りら。」
真剣に聞こえる、低く囁くような声。
聞いているのを示すように目を向ける。
「俺と、付き合ってくんね?」
「今言う事ですか。」
「逆に今、言わなきゃ駄目な事だろ?ちゃんと、お前の彼氏になってからヤりたいんですぅー。」
甘い、というか、エロい筈の空気は、この一瞬で吹っ飛んでいった。
それでも、私の体は離しては貰えず。
腕の中に収まったまま数分。
「凄く、落ち着きます。」
「そっか。」
「…黒尾さん。好き、です。」
体温が心地好くて、自然と口から溢れた気持ち。
横目で見えた黒尾さんの唇が、笑むように端を上げている。
「それが、返事でいいな?」
「…はい。」
今度はしっかりと頷いて、この人の彼女になると決めた。
それは、今から抱かれる事を決めたのと同じ事で。
黒尾さんも、その事は分かっていて。
「怖かったら、言えよ。止めるから。」
気遣いの言葉を掛けてくれた。
この優しい人に触れて貰えるなら、怖い事は何もない。
「大丈夫です。黒尾さんになら、何をされても。」
本心から言った筈の、この台詞を、すぐに後悔する事になるとは思わなかった。