【HQ】脳内妄想‐sharing.・繋がる縁の円‐【R18】
第2章 狼さんに食べられた(黒尾鉄朗/sharing.)
狼になる。
言葉の意味は、知っている。
応えたくて、重なった唇を薄く開いて舌を差し出した。
その途端に、離れていく唇。
ただ、嫌で離した訳じゃないのが分かる、口の端を上げたいやらしい笑顔をしていた。
「りら、お前を食ってイイよな?」
私が頷くと確信している、自信たっぷりな言葉。
その通りにしてしまうのは悔しくて、顔を逸らした。
「りら、好きだ。お前の事、抱きたい。」
横を向いた所為で、黒尾さんに向けてしまった耳。
吐息が掛かるくらい近くで、低い声が聞こえる。
これだけで、腰が砕けてしまいそうで小刻みに震える身体。
「お。弱点発見。りらは耳が弱い。」
「…違います。」
口で否定しても、喋る度に耳に当たる吐息が、身体の奥まで届いているような、くすぐったいような感覚に肩が跳ねる。
「へぇ。じゃあ試してみるか?」
熱が籠ったような、妖しい声が聞こえて振り返ろうとしたけど遅く。
首元と腰に腕が回っていて、抱き締められる形で体を固定されていた。
ちゅっ、とリップ音をわざとらしく立てて耳に口付けられる。
「んっ…だ、めで…す。みみ、くすぐった…ぃ。」
勝手に体が反応して声が漏れてしまう。
拒否をしてみても、それは終わらず。
唇で耳たぶを挟まれたり、軟骨を甘噛みされたり。
輪郭に添うように舌先でなぞられたりして。
やっと、離して貰えた時には身体中から力が抜けていた。