第7章 告白大作戦!
2人を近付ける糸口を見付けたくて、飲んでいる最中に観察をしていたけど。
お酒を飲んでいても、壁を崩そうとしないのは、相当な覚悟を持ってやっているのだと理解しただけで。
私みたいな、口下手で、人付き合いが苦手な人間が2人にしてやれる事なんか無かった。
そうこうしている内に食事が終わり、店から出る。
「かおるさん、ご馳走さまです。」
「いえいえ。手伝って貰ってるお礼、これくらいしか出来なくてゴメンね。」
「いえ、勉強になってますから。本当は、私がお礼をする方です。」
「りらちゃんが手伝ってくれてなかったら、お店潰れてたんだから、そんな謙遜しないで。」
この、やり取りも食事をする度にやる、毎回の事で。
大体は途中で木兎さんが口を挟んできて、謙遜のしあいは終了になる。
「りらちゃん、木葉と帰るだろ?」
今回も、やはり木兎さんの声で終わらせられたけど。
「今日は、かおるちゃん送るな。」
続けられた木兎さんの話は、いつもと違う。
普段通りなら、木葉さんのマンションまで私を送ってくれていたから。
木兎さんの寮に近いからって理由だったんだろうけど、これも多分かおるさんが私の事をまだ好きだと勘違いしている一因だと思う。
木葉さんを呼んだのは、そういう意味でも都合が良かった。