第23章 期間限定sharing.
みつに連絡をする時間。
バイトが終わったとメッセージを送る。
すぐに返った返答には、居酒屋が指定されていた。
それは、秋紀の職場だった。
行きたくない、会いたくない。
最近のシフトは知らないから、偶然でも会ってしまう可能性がある。
いや、寧ろみつの事だから、秋紀が居る事を知って指定してきてるだろ。
秋紀が居れば、私が怒っても止めて貰えるから。
断ろうにも、私達が自然消滅しかけているなんて知らない訳で。
どうすれば良いかも分からず、既読をつけたまま数分放置してしまった。
すると、またメッセージが入る。
【大丈夫。アキノリくんはいないよ】
まるで、私の心を見透かしたような文。
みつが嘘をついている可能性も考えたけど、多分、これは本当だろう。
ここ最近の、りんさんとの事情を話す。
他の人が居ない方が良い。
そう言ったのは、みつの方だから。
それを信じて、その居酒屋に向かった。
先に着いていたみつは、まず最初に、この店に違和感が無いかと訊ねてきた。
みつの話を聞くために来たのに、何故こちらが質問されているのか、分からない。
ただ、答えられるのは…
「秋紀が、居ない」
これだけだった。
別に常駐している訳では無いし、シフトの関係で居ない日があって当たり前。
だけど、秋紀が居る日にしか来た事が無かったから、そこが違和感といえば違和感。
「そう。居ないんだよ。アキノリくん。もう、この店に。1ヶ月ちょっと前に辞めたんだって」
「え」
そんな事、私は知らなかった。
なんで、みつは、それを知っているのか。
「ツッキーくんとりんさん、会社近いから、たまにここ寄ってたんだって。それで、他の店員さんに聞いたらしいよ」
すぐに、その理由は明らかにされる。
「やっぱり、姉ちゃん知らなかったんだ」
その上、私が秋紀と連絡を取ってない事まで気付かれていた。