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【HQ】繋がる縁の円

第1章 再会の裏話


恋する乙女は勘が働くのだと聞く。
多分、木兎さんが私の名前を頻繁に出すんだろう。
それだけで、木兎さんが私に向けている気持ちに気付いていた。
だから、自分じゃ伝えられなくて、空想上の生物にでも頼ろうとしたんだ。

この場にいるのが、悪いような気になったけど、謝って帰るのも、なんか違う気がして。

「ツケ場、入って良いですか。」

何故か、片付けを申し出ていた。

「…え?あ、ど、どうぞ?」

向こうも意味不明だったようで、驚いた顔で了解をしてくれる。
聞いてしまったからには、やらない訳にはいかなくて、纏めていた食器類を持ってツケ場に入った。

入ってみた、その場所には店内と同じく綺麗に手入れをされた道具や食器。
そんなものを眺めていると、悪いと分かりながら、この店を閉めさせたくないと思ってしまった。
こんなに大切にされてきた道具達を、まだ働かせてやりたい。

「かおるさん。」
「なに?りらちゃん。」
「このお店、私に手伝わせて下さい。」

自分でも驚く言葉が口から出ていた。
聞いた方も驚いていて、また何回も瞬きをしている。

まず、状況を説明しなきゃ、と。
言葉を使うのは苦手だけど、順を追って話した。
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