第7章 告白大作戦!
私達の座る席を見付けて、こちらに近寄ってくる。
当たり前のように、私の隣の席に置いていた荷物を背凭れに掛けるようにして移動させ、そこに座った。
「木葉、おせーぞ!」
「仕事なんだから仕方ねぇだろ。」
「木兎、アンタも社会人でしょ?ソコに文句言わない。面倒臭い彼女じゃないんだから…。」
1人加わった事で新たな会話の流れが出来て。
こういうノリに慣れない私は、どこから会話に入っていいか分からない。
「俺の彼女は、こっち。」
だけど、そのまま取り残される事はなかった。
会話の輪に、私を入れるように肩を抱き寄せて、見せ付けるように頬に唇が軽く当てられる。
「目の前でイチャイチャすんな!」
「そういうのは、ヨソでやってよ。若くないんだから見苦しい。」
抗議してくる、前の席の2人。
激しく同意させて頂きたいところだ。
「…じゃ、帰ろっか。家で、たっぷりイチャイチャしよーぜ?」
木葉さんは、それを逆手に取ってニヤりと口角を上げて笑う。
「早く、コイツ等2人きりにさせてやりたいだろ?」
私にだけ聞こえるように、小さく付け足された言葉。
頷いて、帰る準備をしようと荷物に手を伸ばす。
「いやいやいや、ホントに帰るとか止めてよ。木葉、何も飲み食いせずに帰るとか、店に失礼だよ?」
私達の行動を止めたのは、2人きりになりたくないかおるさん。
懇願するような涙目で見られたら帰ってしまう訳には行かなかった。