第6章 ご紹介します
まぁ、それで空気が和んだようだから良しとしよう。
「…で、お前等は、いつ頃再会して、いつから付き合ってんだよ?」
普通に雑談する感じになれば、話の流れとして、私達の馴れ初めにいくのは当然。
根掘り葉掘り聞かれるのは好きではないけど、仕方がない。
「1ヶ月ちょっと前に、な。梟谷、改装すっから、学校見に行った時に再会したんだよ。」
「ドラマか。出会った場所でー…的な?」
「まぁ、そうだな。」
「あ、でもりらは1人で梟谷には行かねぇだろ?って事は、木兎と赤葦が一枚噛んでるな?」
勘が宜しいようで何よりだ。
自分は説明をされないと駄目なのに、自分から説明するのが面倒だと思う私には、先を読んでくれるのは有難い。
「木兎さん達は知ってます、と言いました。」
「だからか。お前、言葉が足んねぇの、何とかなんね?」
「無理です。」
「オイ、少しは努力しなさい。木葉だって、このままは困るだろ?」
伝える努力はしてみているけど、普通とは感覚が違う私の喋る事は、的を射ないのが殆どのようで。
これからも、言葉が足りずに迷惑を掛けるのは予想出来るから、そこはもう諦めて頂きたい所だ。
木葉さんに同意されたら嫌だとは思うけど。
ちょっとの努力で変わる性格なら、この歳まで苦労はしていない。
「いや、コイツが言葉足りねぇのなんて昔からだし?別に隠し事したい、とか、人を傷付けようとして、喋んねぇワケじゃねぇからさ。
その分は、俺が汲み取ってフォローしてやるよ。だから、お前はそのままで大丈夫。」
木葉さんは、本心からそう言ってくれているようで、優しく笑いながら頭を撫でてくれる。
昔は、黒尾さんを一番の理解者だと思っていたけど。
今は木葉さんが、私を一番理解してくれていると分かった事が、何より嬉しかった。