第6章 ご紹介します
そんな訳で、黒尾さんをリビングで待たせたまま、食事の準備を再開する。
黒尾さんも居るなら、どうせ一緒に食べるだろうから、少しだけ多目に作っておくか。
キッチンで動いている内に時間は過ぎていって、インターフォンの音が聞こえた。
「俺が出て大丈夫か?」
カウンターから覗く、黒尾さんの声。
今までなら、俺が出る、と率先して動いてくれていたのに、お伺いを立ててくるなんて。
何に気を遣っているのか分からない。
タイミング悪く、火を扱っている所だから是非とも出ていただきたいものだ。
「お願いします。」
声だけで返答すると、リビングから出ていく足音。
扉が閉まる音を聞いてから、数分。
何故か、戻ってこない。
そこで思い出したのは、あの2人の相性が悪い事。
何かにつけて、言い合いばかりをしていたのを見ていた覚えがある。
まさか、会った途端に言い合いを始めたんじゃないだろうな。
少し、待ってみてもやっぱり戻らず。
料理の方もキリが良くなった所で、キッチンから出て玄関の様子を見に向かう事にした。