第6章 ご紹介します
何に驚いているか、分からない。
だけど、怒りはどこかにいってしまったようだから安心した。
「…彼氏、って言ったか?」
「言いました。」
「ソイツの事、ちゃんと好き?」
「好きです。」
木葉さん以外の男性に、恋愛感情を抱く事が出来ないと思える程だ。
こうやって、口に出すだけで自然と笑えるくらいに、好きだ。
つられたように、黒尾さんも優しく笑ってくれて。
「…良かったな。」
頭を撫でられた。
その手が止まって、離れるかと思ったら、そのまま頭を掴まれる。
「でもな、いきなり連絡取れなくなったら心配すんだろ?木兎達にも、ちゃんと言っとけよ?五月蝿いだろ、特に木兎は。」
今度は、怒るというよりは、忠告のような感じだ。
「木兎さん達は、知ってます。」
忠告される必要はない、と伝えたつもりである。
ただ、それが再び怒らせる原因となったようで。
頭を掴む手の力が強くなっていく。
「オイ。アイツ等には言っておいて、俺には報告ナシか。おニィちゃんに、ちゃんと紹介しなさい。」
仲間外れが、気にくわなかったようだ。
ふざけた事を言ってから、頭から手を離した。
別に紹介しないでも、黒尾さんも知っている人である。
「後で来ます。時間あるなら、お待ちになって下さい。」
まぁ、元々が知り合いだから会わせても問題ないと思った。