第23章 期間限定sharing.
その日から数日の間に、2組の夫婦は、それぞれ新しい住処を決めてきた。
急かしたのは私だけど、ここまで早く決まるとは思っていなかったのが本音。
特に、みつなんかは、楽をしたいが為にズルズルと行動を遅らせるような気がしていたのに。
諦めはついていても、淋しいものは淋しいから、言い訳のような事ばかり考える。
考えても仕方がないから、ここでも諦める事にして、何とか心の平穏を保っていた。
だけど、数日で私の平穏は壊される事になる。
引っ越しの日取りが決まると、荷造り等々やる事が沢山ある訳で。
その最中、共用部分で使っていたものについて度々問題が起きている。
「みつ、それは私が持ってきたドライヤーだからね。」
「うち、元々京治が住んでた部屋に転がりこんでたから、こういう用品ないんだよね。引っ越し祝いって事で貰っちゃダメ?」
「うちも引っ越すんだから、お互いお祝い無しで対等でしょ。あげない。」
大体はこんな感じで、主にみつが発生させていた。
同じような事が何回も起きれば当然の事ながら、
「赤葦さん、嫁を何とかして下さい。りんサンのもの、欲しがってばかりで困ります。」
「俺だって困ってるんだよ。何でも必要と言うよりは、便利だから欲しいだけで。全部を買ってやる訳にもいかない。」
互いのパートナー同士の関係も悪くなる。
私にとって大切な皆。
その雰囲気が良くないのは、耐えられそうに無かった。