第23章 期間限定sharing.
私の変化に敏感で、私の事を構おうとしてくれる存在。
それは、何も黒尾さんに限った事ではない。
その日の夕食の時には…
「りら、何かあった?木葉さんと喧嘩でもした?」
「どーせ、りらがまた変な事して、怒られて、その意味が分からない、とかデショ。」
何かに感付いた赤葦さんと月島くんから、声を掛けられた。
昔からの癖で、この家に居る限りは私のご機嫌取りをするのは男性陣だ。
そして、大体の事は促されたら答えるくらいはする私が、何も言わないのには理由があると、察する事も出来る人達だ。
「何もありません。」
だから、答えないで良い。
ここだけ考えると、木兎さん達が一番最初に出ていって良かったと思える。
出ていって、良かった、と。
たった半日で、これだけの事で、もう切り替えられた。
考えてみれば、それぞれ別の家庭を持っているのに、この家に縛り付ける事自体、出来る訳がない。
気持ちの変化があると、すぐに諦める理由が浮かんできた。
そうだ、これが私だ。
諦めが早い方で、粘るのは性分じゃない。
出ていく人達を引き止めたりする方が、らしくない。
だから、
「…皆さんに、お願いがあるんですが、いいですか?」
自分から、
「すぐに引っ越せ、出ていけとは言いませんが…。早めに新しいところを見付けて頂けると嬉しいです。」
皆が出ていきやすくなるように、声を掛けた。