第22章 2人だけで
‐りんside‐
でも、蛍くんは、私が思っていた意味で、そんな顔をした訳じゃなく。
「反対されたから、結婚しませんって言う程、僕は親に従順じゃないよ。
大体、僕が周りの意見で、自分の人生決めると思ってるの?」
蛍くんの気持ちを信じきれていなかった私を、非難する為だった。
私は1番じゃない。
その思い込みは、捨てなきゃならない。
だって、蛍くん自身が、自分の意思で、人生を共にする相手として、私を選んでくれた。
いつか1番にしてくれる?と私は言っていた。
その、いつかは、すでに来ていたんだ。
嬉しくて、今度は笑いじゃなくて、涙が込み上げてくる。
「…りんさん、泣き腫らした顔で僕の親に挨拶行く気?」
こういう時、優しい言葉をくれるような男では無いけど。
私を、本当に1番にしてくれた。
「嬉し涙なんだから、仕方がないじゃない。もし、それで不細工な嫁連れてきたとか、言われたら結婚しないの?」
私の口は相変わらず可愛いげがないし、蛍くんも否定はしてくれない。
だけど、ご家族に反対されても、彼は私を選んでくれるって、私は信じてる。
その安心感と、時間的なものと…少しの酔いが、眠気を運んできた。
緊張で眠れる気がしなかったのに、今は眠れる気しかしない。
「蛍くん、そろそろ寝よっか。明日、貴方の親御さんにちゃんと挨拶したいもの。
寝不足で礼儀を欠くなんて、流石に出来ないからさ。」
どうせ泊まると分かっているから、一緒に寝室に入る。
こっちが、やっと安心して眠れそうだったのに、中々寝かせてくれなかったのは、また別のお話。