• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第22章 2人だけで


‐りんside‐

私がこの家を買ったのは当時付き合っていた彼氏…黒尾と暮らしたかったから。
それを思い出した瞬間から、蛍くんが可愛く見えて仕方がない。

いつも、傷付く嫌味をズケズケと言ってくるような、乙女心も分からないような男が、過去に嫉妬してるなんて。
嬉しすぎて、勝手に笑いが込み上げてきた。

「…いつまで笑ってるつもり?」

止まらない笑いを抑えるように、口元を隠してみるけど止まらず。
ついに、怒らせてしまったみたいだ。
低い声が、彼の機嫌を物語っている。

途端に背筋を冷たい空気が這った気がして、笑いは急激に止まった。

「…で、僕に一緒に暮らす意思があるなら、どうでもよくない悩みがあったんじゃないの?」

蛍くんの顔は、明らかな愛想笑いをしていて。
今度こそ無言は許さない雰囲気を醸し出している。

「…その、明日からの宮城に行くって話なんだけど。結婚の挨拶のつもりだって分かってるんだけど、さ…。
私の方が年上だとか、前職がキャバクラとか、父は死別だけど、母とも疎遠だったりとか…。反対される要素ありすぎて…怖かったんだよ、ね。」

だから気に入られる方法が分からなくて、悩んでた。

こんなの相談したところで、人を小バカにした顔をして、自分で考えたらって言いそうな人だから、今まで言えなかった。
まぁ、ここまで拗れてから言っても結果は同じ。

蛍くんは、予想通りの人をバカにした顔をしていた。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp