第22章 2人だけで
‐月島side‐
この家は、りんさんが黒尾さんと暮らしたくて買った家。
そんなデッカイおさがり欲しい訳ないでしょ。
言えば、分かってくれるだろうけど。
今は、その話をしに来た訳じゃない。
…ケド、りんさんは不安そうな顔をするばかりで、話を始める気配がない。
「…りんさん、話したい事があるんじゃないの?」
「うん。そうだったんだけど…。なんか、一緒に暮らす気が無いって言われたら、どうでもよくなっちゃった。」
「…ちょっ!そこまでは言ってないよね?」
「言われたも同じじゃない。転居してくるとか、そんな話もしてきたクセに、ここに住む気が無いんでしょ?」
切り出しにくいなら、聞いてあげようとしたのに、この有り様。
こんなに落ち込まれると、どうしようもない。
これじゃ、話が進まない。
だから、仕方がないから話してあげる。
「別に、一緒暮らしたくないって話じゃないよ。転居云々は、あの時だけなら、この家を帰る場所にしても良かっただけで。
基本的に、この家は嫌いなんだよね。
ここを買った当初の目的って何だったっけ?」
黒尾さんの名前は、出したくない。
でも、バカじゃないんだから気付いてよね。
りんさんの出方を伺っていると、何回か瞬きをしてから…。
「…ふ、ふふっ!」
肩を震わせて、声まで出して笑い始めた。