第5章 初デートは甘くない
スプーンの上を眺めてから、ぶっ、と吹き出す音を立てて、木葉さんは笑い始めた。
「…ホンット、お前、天然だな。」
途切れながら、笑い混じりに言われた言葉は理解出来ない。
説明を求めるように首を傾けた。
「…えー…。これも、説明しなきゃダメなやつ?」
主に黒尾さんに、よく言われていたけど、どこが天然なんだかは未だに分からず。
教えてくれるなら、知りたいものだ。
頷いて、話を急かした。
「…お前、さ。ちょっとズレてるとか、言われね?」
「言われます。」
普通とは、感覚が違うのは自覚済みである。
それが、何か関係あるんだろうか。
「そういうの、端から見てちょっと抜けてて可愛く見えるから狙ってやってる、とかじゃねぇだろ?」
「はい、別に。」
「普通とは違う事を、自然にやってるヤツのコト、天然ボケって言うんだよ。」
普通とは違う事、何かやっただろうか。
そんな疑問が浮かんできて、今日の行動を振り返る。
水族館に魚を観賞しにきて、捌き方やら調理法を考える。
これは、普通じゃないな。
でも、それなら天然だと言われるのは、水族館の中にいた時な訳で。
今現在、何で言われたのか更に分からなくなってしまった。