第21章 企み秘めたる結婚式
‐きとりside‐
どうせ、こんな事だろうと思っていた。
だって、あの赤葦が初夜となる今日まで、私の家に泊まりたがる筈はないし。
何ヵ月も前から決まっていた日取りなのに、ホテルが取れなかった訳もない。
全員の2泊分の宿泊費負担するから、自分等のは経費削減なんて、ただの言い訳。
全員2泊するんだからと、自然な形でクロを今日までここに留めて。
何かしらの理由を付け、私の家に来させるのが目的。
家族みたいなものだからって、私まで招待したのも、これに繋がっている。
私自身がいない場で勝手に決めたら、キレる事も見越していた訳だ。
大安でもない今日をわざわざ選んで、挙式をすると聞いた時点で気付いてたもので。
こうなるの嫌だったから、初めは断ったのに、家族って言葉を出されると私は弱かった。
お陰で、心の準備は出来ていて、驚く事はない。
昨年の夏。
何故か赤葦に告白された時から、クロに未練があるって思い込まれていた。
だから、好意でやっている事だろう。
この、お祝いするべき場で、新郎に向かって怒るのは大人の対応でもないし。
クロも、それは分かっている。
「や、別に嫌って事はねぇよ?こっちのセンパイの家、見てみたかったしな。」
ここは、お互いスマートに新婦の我儘を受け入れておいた。