第21章 企み秘めたる結婚式
黒尾さんときとりちゃんは、お互いを想い合っている。
多分、皆が気付いているだろう事。
だけど、2人はまだ、復縁はしない。
それも、皆が知っている筈の事。
なのに、なんで。
赤葦さん達は、勝手な世話を焼こうとしているんだろうか。
「…赤葦さん、それでしたら、私達が代わります。どうせ、この振り袖を着替えに行かなきゃならないですし。」
私には、赤葦さん達が理解出来なくて、邪魔をするように会話に割り込む。
「りら、アンタの事だから、着物くらい畳めるでしょ。着替えなんか、ホテルの部屋ですれば良いじゃない。」
私を止めたのは、意外な声。
こういうやり方を嫌がりそうな、きとりちゃん。
「私は別に構わないから、アンタは木葉クンとラブラブしてなさいよ。」
泊める本人が良いと言うなら、私が口を挟む事じゃない。
もう何も言わないつもりなのが伝わったのか、きとりちゃんは黒尾さんの方へ向き直る。
「まぁ、クロが気まずくて嫌って言うなら、追加のホテル代出してあげるけど。どうする?」
分かりやすく挑発していて、寧ろ泊めたいのかと不思議な気持ちになっていたけど。
「りら、今日は何の日だ?」
秋紀に見せられたスマホの画面。
そこに表示されていた数字を見て、納得してしまった。