第21章 企み秘めたる結婚式
挙式はサラッと済んで、記念の撮影まで、あっという間に終わる。
不安に思っていたブーケをきとりちゃんに渡すという事態は発生せず、安心したのは束の間の事で。
みつが、ブーケを黒尾さんに差し出していた。
「今回は、テツローくんにあげるね。」
「なんでだよ?俺、男だかんな。」
「だって、女性陣は相手居るし。」
「だったら、センパイだろ。」
「きとりちゃん、都市伝説にあやかった所で、結婚とか出来るように見えないしー。」
「なんですって?」
「ホントの事じゃん。それとも、実は彼氏居んの?」
「…うるさい!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ始めたけど、最終的には、みつが強引に黒尾さんにブーケを押し付けて、着替えの為に去っていく。
赤葦さんも当然すぐに着替えに行くだろうと思っていたのだけど、黒尾さんに何やら話があるようで。
「みつがすみません。」
「アイツがやりたい放題なのは、今始まった事じゃねぇだろ。気にしてねぇよ。」
「気にしないなら、みつの我儘、もう1つ聞いて貰って良いですか?」
ただ、みつの非礼を謝っているだけだったら良かったのに。
「ホテルの部屋、俺達に譲って下さい。みつ、昨晩もきとりさんとやり合って、今日は泊まりたくないそうです。」
信じられない言葉が、耳に飛び込んできた。