第21章 企み秘めたる結婚式
‐みつside‐
挙式まで、後1時間もない。
私や京治も、すでに準備が済んでいる状態なのに、姉ちゃんは未だに来ない。
流石に遅過ぎるから、皆が集まっている控え室の中がザワつき始めている。
もう、振り袖着てなくても良いから、せめて式には間に合って…!
その想いが届いたのか、足音が聞こえてきて、開く控え室の扉。
きとりちゃんにエスコートされて入ってきたのは、振り袖を着た姉ちゃん。
「遅くなって申し訳ありません。」
深々と頭を下げる所作すら、綺麗で。
皆が息を呑んだのが分かる。
あまり無い表情が人形っぽい顔に拍車を掛けていて、和服が凄まじく似合うんだ、この人は。
こうやって、姉ちゃんばっかが注目されるのが嫌だったから、前回はやってやれなかったサプライズだけど。
今回は、やって良かったと思う。
姉ちゃんの姿を見た両親は、嬉しいのか泣いていて。
姉ちゃんも、ぶっきらぼうながらも、両親にお礼を言っている。
まぁ、その台詞が…。
「お父さん、お母さん。有難う。私は、いつまでも貴方達の娘です。」
私が本来なら言うようなやつで。
「りら、花嫁の言葉だぞ、それ。」
アキノリくんが呆れて突っ込んだ事で、笑いが巻き起こる。
両親も、勿論ちょっと笑っちゃって。
つられたのか、どういう顔したら良いのか分からないから周りを真似たのか不明だけど、姉ちゃんも笑って。
本当の家族とも、ちゃんと繋がってくれたのだと安心する。
この調子で、繋がって欲しい2人の為の、もう1つの計画。
そっちも上手くいく事を願っていた。